いつの頃からでしょうか。
やけに面倒見のいい人がいたら
「この人、選挙に出るつもりだろうか」と勘ぐるようになったのは。
妙に人付き合いがよく、ニコニコしてるけど
その瞳の奥が笑っていない人を見ると
やはり勘ぐってしまうのです。
「この人、いつか選挙に出るかもしれんな」
春の大選挙シーズンがやってきました。
この数日、やまざき社労士事務所がある江坂にも
無数の選挙カーが現れ、候補者名を連呼しては去っていきます。
公約も政策もなんのその。
覚えてもらってナンボとばかりに、とにかく候補者名の大洪水。
昨日は至近距離に3台の選挙カーが同時に現れました。
ウグイス嬢の声がビルにこだまし、
お互いを打ち消すような高めあうような、摩訶不思議なハーモニーとなり
その近くで働く人々の平常心をゴッソリ奪っていきました。
後に残ったのは耳の奥でわんわん響くウグイス嬢の声。
あまりのハーモニーに候補者名がさっぱりわからなかったのは
各陣営ともに誤算だったと思います。
損して得取るのか。肉を切らせて骨を断つのか。
進まざるものは必ず退くなのか。窮鼠猫を噛むのか。
もはやどういう戦法なのかもわかりませんが、肝心要の候補者名が
有権者に届かないというのはやはりいただけません。
私は、今回の選挙ではウグイス嬢の働きに注目しています。
よく通る声。滑舌よく歯切れのよい話しぶり。
そして何よりも、イチロー並の動体視力。
加えて錦織圭並の瞬発力。
彼女たちは、けっこう離れたところから控えめに振られた手も
見逃すことはありません。
有権者側がどんな形で手を振ろうと、確実にすくいあげて
△△なご声援ありがとうございます!と返してきます。
子供が手を振ったら、老人なら、元気な若者なら、昼休みの会社員なら。
振られる手のバリエーションを研究し、
どんな球が来てもキッチリ打ち返してくるのです。
今まで私は、ウグイス嬢というのは声のいい人がやるもんだと思っていました。
しかし認識が浅かった。いやはやあれは相当に運動能力の高い人でないと
つとまらないようです。イチロー級ですからね。
春の選挙祭りも残すところ数日。
来週には再び静かな江坂に戻ることでしょう。
工夫をこらした名調子が聞けなくなるのは少し寂しいですけどね。
やまざき社労士は、当選した人が天高く掲げる「祝い鯛」の行方を
気にしていました。
確かに。あの鯛は、そのあとどうなるのでしょうか。
当選した人は当日深夜まで何かと忙しいでしょうけど
生魚ですし、できれば新鮮なうちに食べてもらいたいですね。